パソコンで作業中に突然「ウイルスに感染しました」と警告が出て、警告音が鳴り、電話番号が表示される——これはサポート詐欺と呼ばれる典型的な手口です。慌てて電話したり操作したりしないことが何より大切。落ち着いて見分けるポイントを知っておきましょう。
本物のセキュリティ警告ではない
OSやセキュリティソフトが、電話をかけるよう促したり、大音量で警告音を鳴らすことはありません。「今すぐ電話」「サポートに連絡」と番号が出るのは、まず詐欺と考えて間違いありません。ブラウザの全画面表示を悪用しているだけです。
まず画面を閉じる
警告はWebサイトが出しているだけなので、その画面(タブ)を閉じれば消えます。閉じられないときは、キーボードで全画面を解除し、ブラウザを終了します。それでも消えなければ、パソコンを再起動すれば大抵は解決します。
絶対にやってはいけないこと
表示された電話番号にかける、遠隔操作アプリを入れる、コンビニで電子マネーを買う——これらは相手の思うつぼです。正規のサポートがこうした要求をすることはありません。偽メール・偽SMSの見分け方と手口は共通しています。
もし操作してしまったら
遠隔操作を許可した、支払いをした場合は、通信を切り、パスワードを変更し、消費生活センターや警察に相談を。カード情報を伝えたならカード会社への連絡も急ぎましょう。
普段からの備え
OSとブラウザを最新に保ち、怪しい広告サイトを避けるのが基本です。重要なアカウントには二段階認証を設定し、パスワード管理を見直しておくと、被害を最小限にできます。
本物の警告と偽警告の違い(見分け表)
迷ったときは、次の表の「偽警告」側に1つでも当てはまるかを見てください。1つでも当てはまれば、まず詐欺と考えて構いません。
| 確認する点 | 本物(OS・セキュリティソフト) | 偽警告(サポート詐欺) |
|---|---|---|
| 表示される場所 | 画面右下の通知や、ソフトの専用ウィンドウ | ブラウザの中(Webページとして全画面表示) |
| 電話番号 | 出ない | フリーダイヤル風の番号が大きく出る |
| 警告音 | 鳴らない、または短い通知音のみ | サイレンやブザーが鳴り続ける |
| 時間表示 | ない | 「あと4分59秒」などのカウントダウン |
| 閉じる操作 | ×ボタンで閉じられる | ×を押しても消えない・別の警告が出る |
| 言葉づかい | 淡々とした事実の説明 | 「重大」「直ちに」「PCがロックされます」と煽る |
特に分かりやすいのはカウントダウンと警告音です。この2つは、利用者に考える時間を与えないための演出で、正規のソフトが行うことはありません。
画面が閉じられないときの手順
「×を押しても消えない」という状態は、ブラウザが全画面表示(キオスクモード)になっているだけです。次の順番で試せば、ほぼ確実に閉じられます。
- Escキーを押す(全画面表示が解除され、×ボタンが現れます)
- それでも消えなければブラウザだけを強制終了する。Windowsは
Ctrl+Shift+Escでタスクマネージャーを開き、EdgeやChromeを選んで「タスクの終了」。Macはcommand+option+escから強制終了。 - それでもダメならパソコンを再起動する(電源ボタン長押しでも構いません)
- 再起動後、ブラウザを開くと「前回のページを復元しますか」と聞かれることがあります。ここで復元しないを選ぶこと。復元すると同じ警告画面が戻ってきます。
ここまでで消えるなら、パソコンは感染していません。ウイルスに感染したのではなく、そういう見た目のWebページを表示していただけだからです。
やりがちな失敗と、その理由
実際に相談を受けるケースは、次の3つにほぼ集約されます。
- 「一応かけてみるだけ」と電話してしまう — 相手はここからが本番です。日本語で丁寧に応対し、「調査のためのアプリを入れてください」と誘導してきます。番号を押した時点で、あなたの電話番号が「反応する相手」として記録される点も見落とされがちです。
- 遠隔操作アプリを入れてしまう — AnyDeskやUltraViewerなど、それ自体は正規のソフトが使われます。ウイルス対策ソフトも止めません。入れてしまうと、画面を見られるだけでなくファイルを持ち出される可能性があります。
- コンビニで電子マネーを買うよう指示される — 「サポート料金の支払い」名目です。正規のサポートがプリペイドカードや電子マネーで支払いを求めることは絶対にありません。この時点で100%詐欺と断定してよいサインです。
もし操作してしまった場合の手順と時間の目安
被害を最小限にするには順番が大切です。慌てて全部やろうとせず、上から順に進めてください。
- 今すぐ(5分以内):Wi-Fiを切る、またはLANケーブルを抜いて通信を止める。遠隔操作を続けさせないための最優先事項です。
- その日のうちに:入れさせられたアプリをアンインストール。別の安全な端末(スマホなど)から、メール・ネット銀行・ショッピングサイトのパスワードを変更します。
- カード情報を伝えたなら即時:カード裏面の番号へ電話し、利用停止と再発行を依頼。
- 支払ってしまったら:消費者ホットライン188(局番なし)、または警察相談専用電話#9110へ。電子マネーの番号を伝えただけなら、発行元に連絡すると止められる場合があります。レシートは捨てないでください。
- 数日以内:セキュリティソフトでフルスキャン。不安が残る場合はパソコンの初期化も検討します。
こういう人は、こういう備えを
- 自分ひとりで使っている人 — 上の「Esc→強制終了→再起動」の3手順だけ覚えておけば十分です。メモをディスプレイの脇に貼っておくのも有効です。
- 家族と共用している/子どもも使う — ブラウザの通知許可を見直し、怪しいサイトからの通知をブロックしておきましょう。無料の動画サイトや漫画サイトが入り口になりがちです。
- 離れて暮らす親のパソコンが心配 — 「警告が出たら、何も押さずに電源を切って電話して」と先に伝えておくのが最も効きます。離れて暮らす親のスマホ・パソコンを助ける準備もあわせて確認しておくと、いざというとき短時間で対応できます。
よくある疑問
Q. 再起動したら消えました。ウイルスチェックは必要ですか?
A. 電話も操作もしていないなら、基本的に不要です。心配なら普段お使いのセキュリティソフトで一度スキャンしておけば十分です。
Q. 何度も同じ警告が出ます。
A. 特定のサイトを開いたときに出るなら、そのサイトが原因です。また、以前に「通知を許可」を押していると、サイトを開いていなくても警告風の通知が届きます。ブラウザの設定から通知の許可を取り消してください。
Q. セキュリティソフトを入れていれば防げますか?
A. 危険なサイトへのアクセス自体をブロックする機能があるため、遭遇する回数は減らせます。ただし偽警告は「ウイルス」ではなく「ただのWebページ」なので、100%は防げません。最後に効くのは、慌てて電話しないという知識です。セキュリティソフトの選び方も参考にしてください。
Q. スマホでも同じことが起きますか?
A. 起きます。手口も対処も同じで、ブラウザのタブを閉じれば消えます。「ウイルスが3件見つかりました」とアプリのインストールを促す型が多いので、インストールしないでください。
まとめ
偽警告は「電話させる・お金を払わせる」のが目的。慌てず、電話せず、画面を閉じる——この3つを覚えておけば冷静に対処できます。家族にも共有しておくと安心です。


