夏場に体調を崩す原因として特に注意したいのが熱中症です。「自分は大丈夫」と油断していると、気づかないうちに症状が進んでしまうことがあります。
熱中症が起きやすい状況
気温だけでなく湿度が高い日、風が弱い日は体から熱を逃しにくく、屋内でも発症するリスクがあります。特に高齢者だけでなく、暑さに慣れていない時期(梅雨明け直後など)は誰でも注意が必要です。
こまめな水分・塩分補給
喉が渇く前に水分を摂ることが基本です。大量に汗をかいた時は水だけでなく塩分・ミネラルも一緒に補給できる経口補水液やスポーツドリンクが効果的です。水分補給の習慣を日頃から意識しておくと安心です。
初期症状のサイン
めまい・立ちくらみ・大量の汗・こむら返りは熱中症の初期サインです。この段階で涼しい場所へ移動し、水分補給と体を冷やす対応をすれば重症化を防げます。頭痛や吐き気、意識がぼんやりする場合は迷わず医療機関を受診しましょう。
体を冷やす応急処置
首・脇の下・太ももの付け根など、太い血管が通る部分を保冷剤や濡れタオルで冷やすと効率よく体温を下げられます。エアコンの効いた部屋に移動し、衣服を緩めることも忘れずに行いましょう。
日々の体調管理との関係
睡眠不足や夏バテ気味の状態は熱中症のリスクをさらに高めます。夏バテ対策や日頃の体調管理と合わせて、無理のない範囲で夏を乗り切る工夫をしていきましょう。
暑さ指数(WBGT)で見る危険度の目安
気温だけを見ていると判断を誤ります。実際の危険度は、環境省などが使う暑さ指数(WBGT=湿度・日射・気温を合わせた指標)で見るほうが実態に近いと言われています。区分と、そのときにとりたい行動の目安は次のとおりです。
| 暑さ指数の区分 | おおよその目安 | とりたい行動 |
|---|---|---|
| 危険(31以上) | 猛暑日レベル | 屋外の運動・作業は原則中止。屋内でもエアコンを使う |
| 厳重警戒(28〜31) | 真夏日レベル | 30分に1回は日陰や室内で休憩。作業は午前中に寄せる |
| 警戒(25〜28) | 蒸し暑い日 | 運動時は15〜20分ごとに水分。休憩をあらかじめ予定に入れる |
| 注意(21〜25) | 比較的過ごしやすい | 激しい運動時のみ注意。湿度が高い日は油断しない |
ポイントは、暑さ指数は気温の数字とは別物だということです。気温28℃でも湿度が80%を超えていれば汗が蒸発せず、体温が下がりにくくなります。風がない室内は特に上がりやすいので、温度計だけでなく湿度計も置いておくと判断しやすくなります。
水分・塩分は「量」で考える
「こまめに」だけでは行動に落ちません。目安として次の数字を持っておくと、飲み忘れが減ります。
- 食事以外で1日1.2〜1.5L。汗を多くかいた日はさらに0.5〜1L追加
- 一度に大量ではなく、コップ1杯(150〜200ml)を1〜2時間おきに分けて飲む
- 大量に汗をかいた日・屋外作業の日は経口補水液、日常のデスクワーク程度なら麦茶や水で足りることが多いとされています
- 就寝前と起床直後にコップ1杯。寝ている間にも汗で水分は失われます
見落としがちなのがアルコールです。ビールは利尿作用があるため、飲んだ量以上の水分が尿として出ていくと言われています。前夜に飲んだ翌朝は、すでに軽い脱水の状態から1日が始まっていると考えたほうが安全です。お酒との上手な付き合い方もあわせて見直しておくと安心です。
重症度の3段階と、その場での判断
症状は段階的に進みます。どこで自力対処をやめて医療機関に向かうかを、あらかじめ決めておくことが大切です。
| 段階 | 主な症状 | その場での対応 |
|---|---|---|
| I度(軽い) | めまい、立ちくらみ、こむら返り、大量の汗 | 涼しい場所へ移動し、水分と塩分を補給。ひとりにしない |
| II度(中くらい) | 頭痛、吐き気、嘔吐、強い倦怠感、集中できない | 自力で水分がとれない・改善しないなら医療機関を受診する |
| III度(重い) | 呼びかけへの反応が鈍い、けいれん、まっすぐ歩けない、体が熱い | ためらわず救急要請(119番)。無理に水を飲ませない |
判断に迷ったときの目安は「自分で水が飲めるかどうか」です。飲めない、あるいは受け答えがおかしいと感じた時点で、様子見はやめてください。
中年世代がやりがちな失敗
- 設定温度だけを見て、室温と湿度を見ていない — エアコンの設定28℃と室温28℃は別です。実測すると室温が30℃を超えていることは珍しくありません
- 水だけを飲み続ける — 大量に汗をかいた状態で水だけを補うと、かえって体調を崩すことがあると言われています
- 「今日は動いていないから大丈夫」 — 熱中症の多くは屋内で起きています。デスクワークでも室温が高ければリスクはあります
- 若い頃と同じ感覚で判断する — 年齢とともに暑さやのどの渇きを感じにくくなるとされています。感覚ではなく、時間と数字で管理するほうが確実です
こういう人は特に気をつけたい
- 屋外・現場に出る日がある人:作業前に水分をとっておく「事前補給」を習慣に。休憩は我慢せず予定に組み込む
- 一日中室内にいる人:湿度計を1つ置き、60%を超えたら除湿を使う。窓際の席は日射で局所的に暑くなります
- 血圧や血糖値の薬を飲んでいる人:水分・塩分のとり方について、かかりつけの医師に一度確認しておくと安心です
- 寝つきが悪い・夜中に目が覚める人:就寝中の脱水が絡んでいることもあります。夏の寝苦しさ対策とセットで考えると効果的です
よくある疑問
Q. エアコンは何℃に設定すればいい?
設定温度ではなく室温28℃前後を目安にします。設定と実際の室温はずれるので、温湿度計で確かめるのが確実です。湿度が高い日は温度を下げるより除湿のほうが楽になることもあります。
Q. 扇風機だけで乗り切れる?
湿度が低い日は有効ですが、湿度が高いと汗が蒸発せず体温が下がりません。室温が高い状態で風を当て続けても、体を冷やす効果は限られます。
Q. 麦茶で十分?
汗が少ない日はほぼ問題ありません。大量に汗をかいた日は塩分が不足しやすいので、経口補水液や塩分を含む飲料を選ぶのが無難です。
Q. 冷房で体が冷えるのが苦手
室温を下げすぎず、除湿と扇風機の併用、薄手の羽織りものでの調整をおすすめします。暑さを我慢するより、冷えを調整するほうが安全です。
まとめ
熱中症は「暑さへの警戒」と「こまめな水分・塩分補給」で多くが予防できます。初期サインを見逃さず、早めの対処を心がけてください。


